この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
(実際の事例を少し変えています)都心の一等地にもかかわらず、長年に渡る紛争(複雑な権利関係・境界・地代等)のせいで、建て替えも売却もできず、放置されている土地建物があった。平成●年、建物所有者が死亡し、相続が発生したことを契機として、税理士から当職に「なんとかならないか」と相談があった。
解決への流れ
当職は、関係者を順に訪問し、問題の所在を把握するところから着手した。その結果、いくつかの訴訟が必要であること、訴訟を提起するには相続人を含む関係者全員が足並みをそろえる必要があることが判明した。その後、税理士と連携して、全員が妥結できる「青写真」を探り、関係者に対し協力を呼び掛けた。数年をかけ、足並みをそろえることができたので、当職は、全相続人の名義で、必要な訴訟(一部の地権者に対する明渡請求訴訟)を提起した。無事、勝訴判決が下り、権利関係を整理できたために、その後の遺産分割協議は一挙にまとまり、土地と建物を十分な高値で売却して、全相続人に分配することができた。
不動産会社(仲介業者)や税理士から、「顧客の遺産分割についてアドバイスが欲しい」と依頼されることはよくあります。古い不動産は、権利関係が入り組み、地権者も多く、事案が複雑です。そのような場合は、弁護士が、複雑な事案を解きほぐし、最終的な解決の「青写真」をはっきり描くことが肝心です。それさえできれば、皆が同じ目標に向けて足並みをそろえることができます。結果、良い解決へと繋がります。訴訟や調停を要する場合には、弁護士が調整役になるとうまく行くかもしれません。2遺産の不動産を高値売却するためには、売却前に地権者(借地人・借家人など)との関係を清算することが肝要です。立退料を支払う方法が一般的ですが、高額になります。訴訟により強制的に退去させられる場合は、その方が安価です。もっとも、訴訟可能かどうかは、事例によります。