この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
被相続人が母、長男と長女が相続人で、遺産は主として預貯金と父の代で建築されたアパートでした。母の生前に長女が母名義の預貯金から多額の出金していたことが判明したため、長男は長女を信頼できず、感情的な対立が激しいために、遺産分割協議は遅々として進みませんでした。しかし、その間も、アパートの賃料の受け取りやアパートローンの返済、修繕工事の実施とその費用の支払い等、収益物件の管理を種々行わなければならない状況でした。どちらかを代表者として単独で管理を行うか、二人が協力して管理を行うかを選択する必要がありましたが、両者の対立が激しいため、いずれを選択することもできず、アパートを管理できない状況が続きました。賃借人からの賃料が受け取れずローン返済は滞り、また賃借人からはアパートの共用部分などについての修繕を求められても対応できませんでした。
解決への流れ
これ以上放置すれば遺産の価値が棄損される状況でしたので、長男は困って弁護士に相談したところ、遺産分割調停の申立てとともに遺産管理人の選任申立てをすることを提案されました。遺産管理人が選任された後、遺産管理人が賃料を収受し、ローン返済を再開することができました。アパートの修繕についても、適切な金額で工事を実施し、賃料から費用を支払うことができました。遺産管理人は、遺産分割調停が成立するまでアパートを適切に管理し、相続人らは遺産分割調停に集中でき、賃料収入も含めて相続人らが納得できる形で遺産分割調停を成立させることができました。
遺産の管理に不安がある方へ―相続に強い弁護士に相談して安心の相続手続きを遺産に収益物件があり、遺産分割が成立するまでの間、相続人間で協力して適切に管理することが難しいという場合は多くあります。賃料収入はだれが受け取るのか、修繕をするのかしないのか、するとしてどの程度の修繕をするのか、修繕の費用はだれが払うのか など相続人間の話し合いで決めていかなければいけないことが多くあり、両者に信頼関係があり、協力関係が築けなければ、適切な管理は困難です。そうすると、賃借人に迷惑をかけるだけでなく、物件自体の価値を下げてしまう可能性があります。遺産の管理に不安がある方は、早めに専門家である弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、遺産管理に関する全ての手続きをサポートし、あなたとご家族が安心して遺産分割を進められるようにお手伝いします。初回相談は無料で行っている事務所も多く、まずは一度相談してみることが大切です。弁護士のサポートを受けて、確実な財産保全を実現し、トラブルのない相続手続きを進めましょう。