この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
相談者はアパートのオーナーであったが、家賃を半年以上滞納している入居者がおり、退去してもらいたいとの意向であった。
解決への流れ
相手方に対し、1か月以内の退去と未払賃料の支払を求める通知書を送付したが、「今月中に支払うので、このまま住ませて欲しい」との回答であった。依頼者としては、退去していただきたいという意向が強かったので、再度、退去を求めたものの、「引越代がない、住ませて欲しい」との回答であったため、建物明渡請求訴訟を提起した。訴訟提起後、相手方は未払賃料を支払う資力はなかったが、引越代は親族が援助してくれたため、未払賃料のカットを条件に退去させることに成功した。
裁判例上、家賃を3か月以上滞納すると賃貸借契約の解除が認められていることが多いです。しかし、法律上は明渡請求が認められるとしても、家賃を滞納するような相手方ですから、転居費用が捻出できず、出て行こうにも出て行けないという者が多いです。上記事例では、親族が転居費用を援助してくれたため、未払賃料のカットのみで済みましたが、通常はオーナー側が20〜30万円程度の転居費用を和解金として支払い、退去してもらうという解決となることが多いです(オーナーさんとしても未払賃料の回収が困難な中で家賃収入が入ってこないので、一定の和解金を支払って退去してもらった方が経済的に得ということになります)。