この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
被相続人が亡くなって,兄弟から法定相続割合に基づく遺産分割調停が申し立てられました。相談者は,親の介護を,同居してほとんど1人でしていた子に当たる人でした。被相続人が親である場合,子がその親の世話をしたとしての寄与分の主張は,なかなか認められないことが多いといえます。
解決への流れ
実際の調停の場では,専門の介護者による介護記録,親戚の手紙等を提出し,介護の実態がどうであったのかを調停委員に示しました。それによって,一定の理解は得られたものと思います。
遺産分割協議において,寄与分の主張はなかなか認められないことが多いといえます(潮見佳男『相続法』弘文堂平成30年12月,220頁)。それは,子が親の世話(介護)をするのは,子の「義務」として観念されるからです。そういう中にあって,寄与分の主張が認められるためには,特別の事情があったこと,それから普段から施設の利用代などの領収書をとっておくこと,介護日記等をこまめにつけておくこと等が必要になります。