この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
リハビリの目的で入院していた患者さん(女性)が呼吸困難を訴えた後心肺停止となり、救急搬送されたものの、低酸素脳症により意識障害が残存し、意識が戻らないまま約半年後に亡くなられたという事案で、より早期に呼吸困難などの異常が発見できたのではないか、呼吸困難を把握してから行われた措置は適切だったのかということについて調べて欲しいというご相談を受けました。
解決への流れ
透析療法を受けておられた患者さんということで、呼吸困難の原因は肺水腫が考えられたことから、緊急搬送先の救急救命医及び透析療法を行っていた病院の担当医とそれぞれ面談し、呼吸困難の原因が肺水腫であった可能性が高いことが確認できました。その上で、看護記録等の記録及び急変の連絡を受け病院に駆けつけた家族の話などから、実施された措置がどのようなものであったのか、それらの実施された時間はいつ頃だったのかについて特定を行いました。その上で、より早期に呼吸困難を把握し、適切な気管挿管がなされていれば、低酸素脳症となることは回避できた可能性が高く、救命の可能性は十分にあったとして、損害賠償請求を行ったところ、ほぼ請求額どおりの金額で裁判外の和解が成立しました。
この事案は、透析療法を受けており、前回の透析から2日半経過していたことから、体内の水分量が多く、肺水腫が発生しやすい状態の患者さんに呼吸困難が出現した事案でした。ですので、呼吸困難の原因が肺水腫であることを疑い、気管挿管等を実施し低酸素血症の是正を行いながら、速やかに除水措置ができる医療機関へ搬送することが必要でした。しかしながら、気管挿管の実施もやや遅れ、気管挿管の手技自体も上手くいかなかったなど、適切な措置がとられたとは言い難いことが、診療録や家族(医療従事者)の証言から明らかとなり、きめてとなりました。