犯罪・刑事事件の解決事例
#自己破産

浪費が原因の破産申立てをしたが、破産管財人を選任せず免責許可を受けた例

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毛呂 将一 弁護士が解決
所属事務所田園総合法律事務所
所在地神奈川県 川崎市高津区

この事例の依頼主

女性

相談前の状況

事情があって転職した結果、給与が前職より減ったのに、生活レベルを落とせず、友人と外食したり、洋服の買い物を続けてしまいました。そこで、手軽な銀行カードローンでキャッシングをするようになりました。当初は毎月のお給料で完済できていたのですが、借入額がだんだん増えて、気が付いたら、何社もの銀行カードローンや消費者金融からキャッシングしていました。借入総額は数百万円になり、とても完済はできない状況になってしまいました。浪費でできた借金は破産しても許されないと聞いたことがありますが、このような場合どうしたらよいのでしょうか。

解決への流れ

私のケースでは、債務を一部返済する個人再生よりも、債務を支払う責任がなくなる破産申立ての方が良いというアドバイスで破産申立てを依頼しました。仕事は続けていて収入があったので、カードローン返済が不要になり、依頼後、すぐに普通の生活を送れるようになりました。浪費でできた借金なので、免責を受けられるか心配でした。また、免責が受けられるとしても通常、申立てにあたり、最低20万円を納める必要がある可能性があるとのことで、そんな大金は用意できないと心配していました。ですが、幸い、そのお金は必要なくなり、申立てから数か月後、裁判所の免責許可も頂けて無事解決しました。

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毛呂 将一 弁護士からのコメント

個人の破産申立ては、「債務を返済しなくてもよい」という裁判所の免責許可決定を得るために行います。しかし、裁判所はどのような人にでも免責許可決定を下すわけではなく、破産法という法律で規定した一定の事由がある人には免責を不許可とすることがあります。浪費によって支払不能な債務を負った場合も、免責不許可事由の1つです。ですが、実務上は浪費が原因で支払不能になった場合でも、ほとんどの事件で免責許可決定が下されています。ですから、浪費があるだけなら、破産申立てを避けて、そのような制約がない個人再生手続を取る必要はない場合が多いと考えられます。ただ、通常は、裁判所が「破産管財人」という役割の弁護士を別に選任し、破産管財人が免責許可を下すことが相当か、調査して裁判所に報告するという手続を行います。この手続がとられると、破産管財人の費用として最低20万円(横浜地方裁判所の場合。)のお金を納める必要があります。ですが、そもそも経済的に立ち行かなくなって破産申立てをするのですから、このような大金を用意するのは大きな負担となり、用意できる見込みがない方は破産申立てができないということもあります。本件でも、依頼者がお金を用意できないということだったので、破産管財人を選任する手続を回避すべく、破産の原因が浪費であることを裁判所に最初から報告するとともに、浪費の理由、借りたお金の使途の説明、依頼者が反省していて、再発の可能性も少ないこと等を説明しました。その結果、破産管財人を選任せずに破産手続を終了することになり、その後免責許可も下りました。