この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
出産直後の女性が、出血性ショックで死亡したという事案の訴訟です。
解決への流れ
裁判所は、医師が、適切な輸液を行うべき注意義務に違反したとの認定をしました。もっとも、羊水塞栓症が弛緩出血に関与していた可能性も少なからずあったことから、過失と死亡との間に高度の蓋然性までは認められず、救命できた相当程度の可能性があるにとどまるとされました。
年齢・性別 非公開
出産直後の女性が、出血性ショックで死亡したという事案の訴訟です。
裁判所は、医師が、適切な輸液を行うべき注意義務に違反したとの認定をしました。もっとも、羊水塞栓症が弛緩出血に関与していた可能性も少なからずあったことから、過失と死亡との間に高度の蓋然性までは認められず、救命できた相当程度の可能性があるにとどまるとされました。
このような場合でも、最高裁平成12年9月22日判決によれば、「医師の医療行為が、その過失により、当時の医療水準にかなったものでなかった場合において、右医療行為と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども、医療水準にかなった医療が行われていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証明されるときは、医師は、患者に対し、不法行為による損害を賠償する責任を負う」とされています。ただ、実務上は、「相当程度の可能性」に対する慰謝料は数百万円程度にとどまることが多いのが実情です。しかし、本件については、救命された高度の蓋然性を認めるには足りないが、救命された可能性は相当高い程度に達していたと認められるとして、1,500万円の慰謝料が認容されました。なお、本件判決については、判例タイムズ1297号224頁に掲載されています。