この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
居酒屋の店長を務めていた依頼者が、退職後に残業代請求を依頼されました。在職中は、毎月100時間前後の残業を行っていました。しかし、この会社には役職手当等の手当があり、これが100時間分の残業代相当とされていたので、残業代が全く支給されていませんでした。
解決への流れ
●●手当といった手当を残業代として支払うことを固定残業代といいます。100時間という過労死基準とも言える引当時間を役職手当等に組み込んでいること、100時間を超えて残業をしても差額の残業代が支給されていなかったこと、手当以外の基本給等が極めて低く時期によっては最低賃金を下回ることがあったこと、役職手当には店長に対する手当も含まれること、等の主張を行い、固定残業代が無効であると主張をしました。会社側にも弁護士がつき、早々に金額交渉の話となり、700万円での示談が成立しました。
飲食店は、週休が1日であることが多く、また、深夜まで営業していることも多いため、従業員の方が長時間労働となるケースが多々みられます。にもかかわらず、残業代がそもそも全く支払われていなかったり、本件のように「固定残業代」という形で払ったことにされているケースが多くみられます。本件のように、基本給等を低く抑え、代わりに、●●手当(固定残業代)に過労死レベルの残業代を割り振ることにより、手当を含めた総額では、それなりの金額の賃金を支払うものの、過労死レベルに近い残業をしても残業代は支給されないという賃金体系を採る会社が多く見られます。このような賃金体系における固定残業代は無効とされる裁判例もありますが、無効判決を勝ち取るためには、数々の裁判例の収集、検討が必要になるため、かなりの専門性が要求されます。手当等に残業代が組み込まれてしまっているという固定残業代に関するご相談は、多数の解決実績を有する弁護士に相談されることをお勧めします。