この事例の依頼主
30代 女性
相談前の状況
依頼者は被相続人の姉ですが、被相続人に見るべき財産がない一方、多額の負債を抱えていたため、相続を放棄するに至りました。他の相続人も順次相続放棄をしたため、結局被相続人を相続する人が誰もいなくなってしまいました。ところが、被相続人は、生前姉名義のマンションに間借りして居住し、車を所有しやはり姉名義で契約している駐車場を利用していたところ、被相続人の死亡及び相続放棄によって、当該車両を処分できる者がいなくなってしまいました。他方で、契約している駐車場の料金は発生し続けるものの、駐車場に車両が残されているため駐車場利用契約を解除することもできず、相談に来られました。
解決への流れ
被相続人に相続人がない場合(相続放棄による場合を含む)、相続財産管理人を選任して処理をすることになります。一般に相続財産管理人を選任する場合、処理に長期間がかかることなどから100万円単位の高額な予納金を裁判所に納めなければならず、使い勝手があまりよくない制度なのですが、本件では事情を知っている自分がそのまま相続財産管理人となること、管理人の報酬を被相続人の財産の範囲内とすることを事前に了承することなどを申し合わせ、依頼者の負担を可能な限り軽減する形で相続財産管理人を選任することに成功し、最終的に無事車両を売却処分し、依頼者が駐車場利用契約を解除することもできました。
近時は身寄りのない方の孤独死や相続放棄などによって被相続人を相続する人がいなくなってしまうことがままあります。その結果、本来相続人が被相続人を引き継いで処理すれば円滑に済む事項が放置されてても足も出ないという状況になることがあります。このような場合には、相続財産管理人の選任によって解決する場合があります。一般的にはやや使い勝手が悪い制度ではあるのですが、事務処理量の多寡その他の個別の事情によって依頼者の負担を軽減することも不可能ではありません。お気軽にご相談ください。