この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
ご依頼者の息子が亡くなり、父であるご依頼者と、母であるご依頼者の元妻が相続人となった事案でした。相手方とは、ご依頼者・息子ともに長年に渡り交流がなく、被相続人が亡くなったとの連絡にも無反応だったため、遺産分割が進まないとのご相談でした。相手方が無反応であった理由次第で、解決手段が変わってくることが考えられました。例えば、判断能力の低下のためであった場合、長期間かけて調停等の多くの裁判手続をこなしていくことが必要になります。他方で、依頼者側との関与を相手方が避けたかったためとの可能性も考えられました。この場合、交渉の方法次第で、裁判所の手続なしに早期解決の可能性もあると思われました。
解決への流れ
相手方が依頼者側との関与を避けたいと思っている可能性を考慮し、まずは相手方の生活に配慮した交渉からスタートすることとしました。そこで受任後、私から相手方に対し、遺産分割協議はしなければならないが、条件次第で簡潔に書面の郵送だけで協議を成立させることができる旨を、親展のお手紙で丁寧にお伝えしました。そうしたところ、相手方から「遺産は一切不要であるが、必要な手続きには協力する」との連絡をいただき、早期に遺産分割協議が成立しました。
本件は、長年交流のなかった元夫婦が、突然協議せざるを得ない状況に迫られたもので、ご依頼者と相手方の当事者双方にとって遺産分割協議への心理的負荷が高い事案でした。そこで、当事者間に弁護士が立ち、相手方にとっても心理的負荷の少ない方法を丁寧にお示しすることで、協議をスムーズに進行させることに成功しました。結果的に、ご依頼者が遺産全体を取得するという形で遺産分割協議を早期に成立させることができました。また、遺産分割協議成立後の煩瑣な銀行手続にも対応させていただき、凍結された預金の迅速な引出を実現しました。