犯罪・刑事事件の解決事例
#遺言 . #遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求) . #財産目録・調査

両親と一緒に住んでいた長男に,ほぼ全ての財産を相続させるという遺言書が作成されていた。

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久保 陽一 弁護士が解決
所属事務所スター綜合法律事務所
所在地大阪府 大阪市北区

この事例の依頼主

60代 女性

相談前の状況

相続税の申告が必要な場合,相続開始から10か月以内に相続税の申告を行わなければなりません。多くの場合,相続人全員が共同で相続税の申告を行うことになります(別々に申告すると税務調査が行われる可能性高くなるため)が,本件も相続税の申告準備を行う際の連絡から相続人間のトラブルが発生しました。相談にみえられた方は,長男の方が父親に執拗にお願いして遺言書を作成させたと考えておられ,遺言書の内容に不満をもっておられ,申告の協力を求められた段階で,その不満が爆発しました。長男の方からは,申告に協力するにあたり500万円を支払う提案を行っていましたが,相談にみえられた方は,長男の方が提示した金額に納得されませんでした。

解決への流れ

申告書を手掛かりに相続財産の内容を把握し,相続財産の時価評価の検討をつけました。ここで重要なのは申告書に記載された不動産等の価格はあくまで相続税を課すための基準額であり時価ではありません。そして,当方が試算した相続財産の時価,長男の方が相続開始前に受けていた経済的利益を試算した上で,相談に来られた方が法律より受けることができる経済的利益を試算しました。そして,当方が試算した金額をベースに交渉を行った結果,相続税申告期限直前に話合いによる解決に至ることができました。

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久保 陽一 弁護士からのコメント

本件は,いわゆる遺留分に関する問題ですが,遺留分を侵害されている方が受けることができる経済的利益を算定するにあたっては,相続財産の時価総額だけでなく,各相続人が相続開始前に受けていた経済的利益も加味して判断する必要があります。このような判断は,初めて相続を経験する方にとっては非常に困難ですし,仮に算定することができたとしても請求される側が,これを受け入れることはありません。本件では,どうしても相続税の共同申告を行いたいという長男側の事情があったため,話し合いにより解決することができましたが,多くの事例では訴訟にまで発展します。このようなトラブルを回避するためには,遺言書を作成するにあたり内容面で十分な留意が必要になるのですが,遺言書を受取る立場の方においても,他の相続人がどのように考えているか考慮した上で他の相続人への配慮が不可欠となります。