この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
共同相続人の一人であるきょうだいから遺産分割協議書が一方的に送られてきたけれど、遺産のほとんどをきょうだいが取得するというものであり、内容に納得いかないとのことで、ご相談いただきました。
解決への流れ
打合せの中で、ほかにも遺産があるのではないかということになり、可能な範囲で遺産の調査を行いました。その後、協議による解決は難しいことから、遺産分割調停を申し立てました。遺産分割調停においては、遺産である不動産の価値をいくらと評価するのかといったことも問題となりましたが、不動産仲介業者の協力を得て説得力のある査定書を作成し、これをもとに適正な金額で分けることができました。遺産分割調停の結果、きょうだいから当初送られてきた遺産分割協議書とは全く異なる内容・金額で、適正に遺産分割を行うことができました。
遺産分割について、どうしても話し合い(協議)で解決できない場合、家庭裁判所で調停を行うことになります。裁判手続外の遺産分割協議であれ、遺産分割調停であれ、私の目線は常にご依頼者様の利益第一というところにあります。ただし、ここでいう「利益」をどう考えるかについては、ご依頼者様とよく話し合って共通認識を持つことが重要だと考えます。つまり、ご依頼者様にとっての「利益」が「主張できる権利は全て主張する」ということであれば、法律上認められる相続分を漏らさず1円でも多く取得することが重要となるかもしれません。しかし、場合によっては、ご依頼者様のお気持ちとしては、相手方もよくやってくれたと相手方の頑張りを一定程度認めて、「ほどほど」の権利主張さえできれば十分ということもあるかもしれません。ご依頼者様は「ほどほど」でいいというお気持ちなのに、弁護士が「1円でも多く」という態度であれば、それはご依頼者様の「利益」にかなっているとは思えません。私は、ご依頼者様とよく話し合い、ご希望をうかがい、疑問点を説明するなどしてご依頼者様に十分ご納得いただいたうえ、ご依頼者様が本心から「よかった」と思えるようにしたいと考えています。