この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談者のXさんの父親は、Xさんが高校生の頃から消息不明となり、Xさんは父親が生きているのか死んでいるのか20年以上知りませんでした。ある日、Xさんは風のうわさで父親が亡くなったことを知りました。それからしばらくして、父親の内縁の妻から、Xさん宛に手紙が届きました。その手紙には、父親が事業に失敗して借金を残したこと、Xさんにその借金の返済を負担してほしいということが書かれていました。Xさんは、父親の子どもである以上、プラスの財産もマイナスの財産も相続します。加えて、手紙を受け取った時点では風の噂で父親が亡くなったことを知ってから起算して3ヶ月以上経っていた(民法915条1項)ため、相続放棄ができないように思えます。そこで、困ったXさんは手紙を受け取った直後に、当事務所へ相談に訪れました。
当事務所は、Xさんの相続放棄に成功し、Xさんは父親の借金を負担することを免れました。当事務所は、以下のようにこの問題を解決しました。Xさんのような相続人が相続放棄をするかどうか考える3ヶ月の期間を「熟慮期間」といいます。判例によると、熟慮期間の起算点は、原則、父親が死んだ事実と自分が法律上相続人となることを知った時です。しかし、判例は、例外として、相続人が相続財産の全部を認識した時又は通常認識しうべきときを熟慮期間の起算点としています。どんな場合が例外にあたるかというと、「父親が死んだことを知った時から3ヶ月以内に相続放棄をしなかったのが、相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、そのように信じたことについて相当な理由がある場合」です。Xさんの事例では、このような場合にあたるか問題となりました。当事務所が詳細な主張をした結果、相当な理由がある場合と裁判所から認められました。その結果、Xさんの熟慮期間は、内縁の妻の手紙を受け取ったときに起算されることになり、無事相続放棄できました。
相続放棄は時間との勝負です。父親の死亡から3か月以上経っているため一見相続放棄が認められない事例においても相続放棄を認めさせた豊富な実績が弁護士鈴木謙太郎にはあります。お早めにご相談ください。