この事例の依頼主
30代 男性
1 事故発生の状況30代会社員(男性 福岡県北九州市在住)のBさんは、バイクを運転して交差点を進行中、狭路から交差点へ進入してきた四輪車と出会い頭衝突し、左鎖骨骨折等のケガを負われました。2 ご相談及びご依頼の経緯Bさんは事故後約10ヶ月通院し、加害者側保険会社を通じて後遺障害の申請をしたところ、肩関節の可動域制限により第10級10号の等級となりました。加害者側保険会社は、上記の等級を前提として、Aさんに対し約800万円での示談を提示してきました。Bさんは、この金額が妥当であるか分からないために当事務所にご相談をされ、大幅に増額の余地があることが分かったのでご依頼をされました。
1 当事務所の活動など加害者側保険会社の提示は① Bさんの後遺障害逸失利益について、事故当時の安い給与(年収260万円程度)を基礎として計算している② 同じく逸失利益について、12年分しか計上していない③ 慰謝料の金額も裁判所基準より大幅に安いなど、非常に問題のあるものでした。①については、確かにBさんの事故当時の収入は年間260万円程度でしたが、Bさんは30代前半でありこれから収入上昇が予測されるのですから、「未来永劫年収260万円」かのような計算は極めて不当です。もっとも、Bさんの年収が将来どの程度増えるかは明確ではないので、このような場合には、厚生労働省の賃金統計(賃金センサス)により、すべての年代の労働者の平均的な年収額を元に算出すべきことになります。また、②については、肩関節の可動域制限は一生残るものであり、今後30年以上は稼働に支障があると予測されるにも関わらず、何らの根拠も無く「12年後には支障が無くなる」ことを前提に、不当に安い金額を算出していました。③については、例によって、「保険会社基準」による、裁判所基準とはかけ離れた不当な低額を提示していました。そこで、当事務所は、① Bさんの逸失利益について、賃金センサスによる平均的な年収を基礎として計算せよ② 同じく逸失利益について、67歳まで支障が残ることを前提に計算せよ③ 裁判所基準の慰謝料等を支払え等を主張して交渉しました。2 事件処理の結果交渉開始後約1ヶ月で、加害者側保険会社は当方の主張を概ね認め、2400万円を支払うとの内容で示談が成立しました。結果として、保険会社の最初の提示額 最終的な獲得額約800万円 → 2400万円という、大幅増額を実現することができました。
本件では、交渉開始後1ヶ月で、示談金額が最初の提示の約3倍、金額にして約1600万円増額した、という所に特徴があります。つまり、保険会社(CMもされている立派な大手企業です)側は、本件のようなケースで2400万円程度払わなければならないことは最初から承知しているわけですが、それを承知の上で、知識のない被害者に対し、「約800万円」の提示をしているのです。皆様は、このような現実を知って、どのように思われるでしょうか?保険会社の提示する示談案には安易に同意されず、必ず一度は弁護士にご相談されることをお勧めします。