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電動キックボード「LUUP」の「交通違反」目撃続出 運営会社は「見つけたら警察に通報を」
2024年11月16日 09時17分
#電動キックボード #LUUP #交通ルールテスト #2人乗り

「うわ!」

今年10月、東京・青山の狭い路地を歩行者とぶつかりそうになりながら疾走する電動キックボード。避けた歩行者から思わず声が上がった。

歩行者が驚いていたのは、電動キックボードには、金髪の若い男性が運転する電動キックボードの後ろに、若い女性も乗っていたことだ。2人は周囲を気にすることなく、走り去っていった。

記者が目撃した二人乗りの電動キックボードは、「LUUP」と呼ばれるシェアサービスによるもので、都心を中心に利用が急速に増えている。

SNSでは、記者が目撃したようなLUUPの「二人乗り」や歩行者との接触、危険な歩道の走行、飲酒運転など違法が疑われる行為が毎日のように報告されている。

こうした危険な行為を見つけた場合、どうしたらよいのだろうか。

電動キックボードについては道交法が改正され、2023年7月からは最高時速20キロ以下などの電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」に分類されて、運転免許なしで公道を走行できるなど新しいルールが適用されている。

このルールでは、飲酒運転は悪質犯罪とされ、「酒酔い運転」で5年以下の懲役または100万円以下の罰金、「酒気帯び運転」で3年以下の懲役または50万円以下の罰金と厳しい処罰が科せられる。

他にも、「信号無視」は反則金6000円、「二人乗り」も反則金5000円となっている。もしも歩行者などとぶつかって交通事故を起こした際には、負傷者を救護したり、警察官に交通事故について報告する義務があり、これをしなければ「ひき逃げ」とされ、死傷結果が乗っていた人の運転に起因する場合には10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる。

警察庁は今年9月、改正道交法が施行後1年間(2023年7月〜2024年6月)の「特定小型原動機付自転車」による交通事故や交通違反交通違反の状況を発表した。

発表によると、事故件数は219件で、負傷者は226人だった。都道府県別では、事故の7割が東京都で発生、レンタルの車両による事故が9割を超えていた。事故を起こした運転者は20代が最も多く、半数を占めている。

また、交通違反の検挙数は2万5156件にのぼった。主な違反は、「通行区分違反」が1万3842件(55%)、次いで「信号無視」が7725件(31%)となっている。

警察庁では今後、「ヘルメット着用促進」の強化や、関係事業者による交通安全教育の充実、悪質で危険な交通違反に対する重点的な取り締まりなどを強化するとしている。

LUUPに乗る際、ユーザーは「交通ルールテスト」に合格しなければならない。その中では、走行できる場所や右左折の方法、違反行為(二人乗りや飲酒運転など)について説明されている。

しかし、どこまでその交通ルールがユーザーに理解されているかは不透明だ。

Xでは「LUUP」の走行について、さまざまな目撃情報が投稿されている。たとえば、「二人乗り」だけでも毎日のように報告されている。

「二人乗りしているカップルに轢かれそうになった」

「一方通行を逆走して来た二人乗り電動キックボードLUUPに轢かれそうになった」

「LUUPに二人乗りしたカップルが車道の右端から信号赤なのに横断歩道につっこんできたかと思ったらそのまま歩道に入って走り抜けてって違反のコンボすぎてびっくりした」

「LUUPが、子どもを跳ねそうになっていた」

「携帯を見ながらLUUP運転している人がいた」

また、中には「歩いていたらLUUPに当て逃げされた」という深刻なケースもしばしば投稿されている。

しかし、こうした違反や危険な運転を見つけてSNSに投稿することはできても、「どこに通報したらよいの?」という疑問の声も上がっている。

二人乗りを目撃した記者自身も、どこに通報すべきかわからなかった。そこで、「LUUP」のサービスを運営する株式会社Luupに聞いてみた。

弁護士ドットコムニュースでは、SNSへの投稿のように「当て逃げをされた」場合や、「二人乗り」を目撃した場合は、どうしたらよいのかなどを質問した。たとえば、目撃した人が、日時や場所、撮影した写真や動画を同社に送れば、ナンバーや位置情報などから調べてもらえるのだろうか。

広報担当者からは次のような回答があった。

「安全・便利に短距離移動インフラとしてご活用いただく為にも、当社は交通事故0を目指しております。その中でも交通違反者、迷惑運転者は容認できません。

利用者による交通違反を見かけた際には、警察への通報をお願いしております。『時間』『場所』『どのような違反だったか』等を最寄りの交番、あるいは警察署へご連絡をいただきますようお願いいたします」

つまり、違反行為を目撃したら同社ではなく警察に通報してほしいということだった。

同社では、今年6月から「LUUPの安全・安心アクションプラン2024」をスタートさせている。

このプランでは、交通違反者の厳罰化を進めており、違反点数が一定以上になると、アカウントが30日間凍結されて、LUUPを利用できなくなるという。また、30日間の凍結期間を経て、1年以内に違法走行で取り締まりを受けると、無期限で利用不可となる。

飲酒運転やひき逃げなどの重大な違反については一度の取り締まりでアカウントが無期限で 利用不可となる。

では、どの程度このプランは効果があるのか。

「アカウント凍結の実績は一定数あるほか、ヘルメットの販売を準備しており近々ご案内できます。これからも安全対策には不断の努力を続けていく所存です」(同社広報担当者)

今年10月までの5カ月で、どれほどの成果があったのか尋ねたが、凍結されたアカウント数については「非公開」という回答だった。

なお同社がどのように違反したユーザーを把握しているのかについても尋ねたが、こちらも「具体的な方法は公開しておりません」とのことだった。

同社では、「警察とも適宜連携の上で実施しておりまして、取り組み開始以来、一定数のアカウント凍結等の措置を講じています。また、車両の転倒ログをすべて取得できるようになっておりまして、現在は、ユーザーのGPS情報や車速情報とセットで、事故車両分析や事故当時の状況把握などに活用しております」と回答している。

同社は今年10月、社外監査役として元警視総監の樋口建史氏を招いたと公表し、注目を集めた。今後、交通違反や危険な運転に対してどのような対策をとっていくのか、注視していきたい。

【編集部注】本文の誤字を訂正しました(2024年11月20日17:20)

「うわ!」

今年10月、東京・青山の狭い路地を歩行者とぶつかりそうになりながら疾走する電動キックボード。避けた歩行者から思わず声が上がった。

歩行者が驚いていたのは、電動キックボードには、金髪の若い男性が運転する電動キックボードの後ろに、若い女性も乗っていたことだ。2人は周囲を気にすることなく、走り去っていった。

記者が目撃した二人乗りの電動キックボードは、「LUUP」と呼ばれるシェアサービスによるもので、都心を中心に利用が急速に増えている。

SNSでは、記者が目撃したようなLUUPの「二人乗り」や歩行者との接触、危険な歩道の走行、飲酒運転など違法が疑われる行為が毎日のように報告されている。

こうした危険な行為を見つけた場合、どうしたらよいのだろうか。

●「二人乗り」や「飲酒運転」は違法

電動キックボードについては道交法が改正され、2023年7月からは最高時速20キロ以下などの電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」に分類されて、運転免許なしで公道を走行できるなど新しいルールが適用されている。

このルールでは、飲酒運転は悪質犯罪とされ、「酒酔い運転」で5年以下の懲役または100万円以下の罰金、「酒気帯び運転」で3年以下の懲役または50万円以下の罰金と厳しい処罰が科せられる。

他にも、「信号無視」は反則金6000円、「二人乗り」も反則金5000円となっている。もしも歩行者などとぶつかって交通事故を起こした際には、負傷者を救護したり、警察官に交通事故について報告する義務があり、これをしなければ「ひき逃げ」とされ、死傷結果が乗っていた人の運転に起因する場合には10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる。

●事故のうち7割が東京で発生、レンタル車両は9割超

警察庁は今年9月、改正道交法が施行後1年間(2023年7月〜2024年6月)の「特定小型原動機付自転車」による交通事故や交通違反交通違反の状況を発表した。

発表によると、事故件数は219件で、負傷者は226人だった。都道府県別では、事故の7割が東京都で発生、レンタルの車両による事故が9割を超えていた。事故を起こした運転者は20代が最も多く、半数を占めている。

また、交通違反の検挙数は2万5156件にのぼった。主な違反は、「通行区分違反」が1万3842件(55%)、次いで「信号無視」が7725件(31%)となっている。

警察庁では今後、「ヘルメット着用促進」の強化や、関係事業者による交通安全教育の充実、悪質で危険な交通違反に対する重点的な取り締まりなどを強化するとしている。

●「二人乗りに轢かれそうになった」「当て逃げされた」

LUUPに乗る際、ユーザーは「交通ルールテスト」に合格しなければならない。その中では、走行できる場所や右左折の方法、違反行為(二人乗りや飲酒運転など)について説明されている。

しかし、どこまでその交通ルールがユーザーに理解されているかは不透明だ。

Xでは「LUUP」の走行について、さまざまな目撃情報が投稿されている。たとえば、「二人乗り」だけでも毎日のように報告されている。

「二人乗りしているカップルに轢かれそうになった」

「一方通行を逆走して来た二人乗り電動キックボードLUUPに轢かれそうになった」

「LUUPに二人乗りしたカップルが車道の右端から信号赤なのに横断歩道につっこんできたかと思ったらそのまま歩道に入って走り抜けてって違反のコンボすぎてびっくりした」

「LUUPが、子どもを跳ねそうになっていた」

「携帯を見ながらLUUP運転している人がいた」

また、中には「歩いていたらLUUPに当て逃げされた」という深刻なケースもしばしば投稿されている。

しかし、こうした違反や危険な運転を見つけてSNSに投稿することはできても、「どこに通報したらよいの?」という疑問の声も上がっている。

二人乗りを目撃した記者自身も、どこに通報すべきかわからなかった。そこで、「LUUP」のサービスを運営する株式会社Luupに聞いてみた。

●「時間」「場所」「どのような違反だったか」を警察に

弁護士ドットコムニュースでは、SNSへの投稿のように「当て逃げをされた」場合や、「二人乗り」を目撃した場合は、どうしたらよいのかなどを質問した。たとえば、目撃した人が、日時や場所、撮影した写真や動画を同社に送れば、ナンバーや位置情報などから調べてもらえるのだろうか。

広報担当者からは次のような回答があった。

「安全・便利に短距離移動インフラとしてご活用いただく為にも、当社は交通事故0を目指しております。その中でも交通違反者、迷惑運転者は容認できません。

利用者による交通違反を見かけた際には、警察への通報をお願いしております。『時間』『場所』『どのような違反だったか』等を最寄りの交番、あるいは警察署へご連絡をいただきますようお願いいたします」

つまり、違反行為を目撃したら同社ではなく警察に通報してほしいということだった。

●違反で凍結されたアカウント数は「非公開」

同社では、今年6月から「LUUPの安全・安心アクションプラン2024」をスタートさせている。

このプランでは、交通違反者の厳罰化を進めており、違反点数が一定以上になると、アカウントが30日間凍結されて、LUUPを利用できなくなるという。また、30日間の凍結期間を経て、1年以内に違法走行で取り締まりを受けると、無期限で利用不可となる。

飲酒運転やひき逃げなどの重大な違反については一度の取り締まりでアカウントが無期限で 利用不可となる。

では、どの程度このプランは効果があるのか。

「アカウント凍結の実績は一定数あるほか、ヘルメットの販売を準備しており近々ご案内できます。これからも安全対策には不断の努力を続けていく所存です」(同社広報担当者)

今年10月までの5カ月で、どれほどの成果があったのか尋ねたが、凍結されたアカウント数については「非公開」という回答だった。

なお同社がどのように違反したユーザーを把握しているのかについても尋ねたが、こちらも「具体的な方法は公開しておりません」とのことだった。

同社では、「警察とも適宜連携の上で実施しておりまして、取り組み開始以来、一定数のアカウント凍結等の措置を講じています。また、車両の転倒ログをすべて取得できるようになっておりまして、現在は、ユーザーのGPS情報や車速情報とセットで、事故車両分析や事故当時の状況把握などに活用しております」と回答している。

同社は今年10月、社外監査役として元警視総監の樋口建史氏を招いたと公表し、注目を集めた。今後、交通違反や危険な運転に対してどのような対策をとっていくのか、注視していきたい。

【編集部注】本文の誤字を訂正しました(2024年11月20日17:20)

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