犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割

遺産である不動産から発生した相続開始後の賃料の支払いを請求した案件

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橋本 浩史 弁護士が解決
所属事務所鳥飼総合法律事務所
所在地東京都 千代田区

この事例の依頼主

50代 男性

相談前の状況

依頼者の母が亡くなり、依頼者とその兄、姉の合計3人が相続人でした。依頼者の兄が遺産である賃貸マンションの賃料の振込口座を自己名義の銀行口座に変更し、その口座に振り込まれた賃料を独り占めしていました。依頼者は、兄に対して、その賃料相当額のうち3分の1に相当する額の支払いを請求しましたが、兄はそれを拒みました。そこで、当職は、依頼者から、この金額の請求について依頼を受けました。

解決への流れ

当職は、依頼者の兄に対して、賃料相当額の3分の1に相当する額の支払いを内容証明郵便で請求しましたが、この兄はこの請求に応じず、また、この賃料の分割を遺産分割の対象とすることにも賛成しませんでした。そこで、当職は、この兄を被告として、当該3分の1相当額及び遅延損害金の支払いを求める不当利得返還請求訴訟を提起しました。同訴訟では、最終的に様々な事情を考慮した結果、当初の請求額の8割程度の金額の支払いを受けるという内容の訴状上の和解が成立し、依頼者は兄からこの金額の支払いを受領しました。

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橋本 浩史 弁護士からのコメント

遺産である不動産等から発生する賃料債権など(法定果実)は、平成17年の最高裁判決により、遺産分割の対象とはならず、各相続人が相続分に応じて取得するとされています。この場合も、相続人全員が、賃料債権なども遺産分割の対象とすることに合意する場合には、その分配方法を遺産分割協議で定めることも可能ですが、本件のように合意ができない場合には、不当利得返還請求訴訟等により解決するほかありません。本件では、被告(兄)の支払能力なども総合的に考慮した結果、以上のような和解による解決に至りました。