この事例の依頼主
男性
相談前の状況
ご相談者は、亡いとこの生前ほぼ唯一親交のあった親族で、いとこから頼まれて入退院・施設への入所手続や、いとこの自宅の管理などを行っていました。いとこの死去後、相続人がなく遺産を管理する人もおらず、ご相談者は、いとこの遺産管理をどうしたらよいのか困り、私の事務所に相談に来られました。
解決への流れ
いとこの遺産について、家庭裁判所の審判で相続財産管理人を選任してもらい、管理事務を進めてもらうことにしました。さらにその後、ご相談者がいとこの「療養看護に努めた」特別縁故者にあたるとして、いとこの遺産からの財産分与を求める申立てを家庭裁判所にしました。財産分与事件が進む中で、相続財産管理人と家庭裁判所調査官のそれぞれから意見書が出されました。それらは、ご相談者が特別縁故者にあたるという意見であったのですが、特別縁故関係の「程度」に関しては、いとこが生前に相談者と関わってきた事実経過が十分に考慮されていませんでした。そこで、相談者がいとこから自宅など管理を任される経過として、いとこの家族の病気療養の際に対応し、いとこの困り事、悩み事の相談もにのり、信頼されてきた経過を、相談者の認識・思いとして意見書にまとめ裁判所に提出しました。審判では財産分与の範囲について、相談者の意見が酌まれた判断がされました。
相続財産管理人、家庭裁判所調査官の意見は、公的な立場からのもので尊重されるべきですが、実際に故人と交流のあった当事者の事実認識と相違することはあります。当事者の事実認識を、妥協せず、きっちり裁判所に伝えることが大事と思いました。